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「グロテスク」桐野夏生 人の心のドロドロをこれでもかと表現する

ものすごくいい作品だし、売れたし、映像化の話もあったとは思うのですが、どうして映像化されてないのかな?
 
桐野夏生先生が拒否してるんでしょうか。
そこにはいろいろと大人の事情もありそうです。
 
桐野先生の本は映像化もほんとに多いので、これはなぜ? と思いますが、でも、この本を映像で表現するのって難しいと思います。
 
絶対に失敗する。
 
失敗ってゆーか、原作を超えられない。
 
色っぽいシーンも多々あるので(主人公は体を売っていた)、やる女優さんも限られるでしょうし。
 
演技がうまくて、HシーンもOKで、知名度もあってとなると、その人選も一筋縄ではいきません。
 
ただ、この原作を読んで、これならばやりたいという女優さんは山ほど出てきそうですが。
 
「やりたい」といっても、なかなかできる役(こなせる役)ではないと思います。
 
ちなみに、桐野先生の作品で映像化されたものといえば・・・
 
OUT(映画)・・・原田美枝子、室井滋、倍賞美津子など
 
OUT(ドラマ)・・・田中美佐子、飯島直子、西田尚美など
 
東京島・・・木村多江、福士誠治など
 
やわらかな頬・・・天海祐希など
 
情報は間違ってるかも。
適当に思い出せたものだけなので。
 
もっともっとあると思いますが、こんな感じ。
 
本作ですが、人のこころのドロドロしたところ(差別だったり、蔑みだったり、意地悪かったり)や人間の孤独や哀しさみたいなものをこれでもかというぐらいに表現した作品。
 
読んでると当然暗くなりますが、それが中途半端ではないので、読んでるときもそんなに苦しくありません。
 
読みながら、自分の黒いモノも吐き出せる感じ。
 
嫌なものを引き出してくれるぐらいの暗さ、黒さがあります。
 
なので、読後感も悪くないです。
 
もちろん、どろっとしたものは残りますが、そういったものを求めるひとが読むものなので。
 
東電OL殺人事件をモチーフに書かれた作品です。
 
もっともっと上を・・・勉強だけではなく、(所属している)会社だけではなく、女としても・・・
 
いつも満たされない心を抱えた主人公は、自分の尺度をもたず、世間的な尺度に振り回されます。
 
だから、いい学校、いい会社の道を迷うことなく歩んでいきますが、大人になると、それとは別の次元で幸せというものがあることに気付きます。
誰しもそう。
 
主人公はそこにぶつかり、破綻します。
 
普通は限界にぶつかると、自分なりの幸せを探るし、そうするべきなのですが、主人公はそうしない。
 
あいかわらず完璧を探り、間違った方向に努力を続け、おかしくなっていきます。
 
すべてが完璧なんて無理です。
だからゆえの破綻です。
 
いい学校、いい会社、いい仕事・・・でも、女としてどうなの?
 
だったら女として自信をつけねば。
 
そして、主人公は渋谷の片隅で体を売るようになります。
 
女として求められる自分にならなければ、必要なピースが埋められないと思い込んで・・・
 
不幸な女性のお話です。
 
でも、笑いとばせない。
 
ここまで極端でなくても、これはすべての女性にあてはまる行動ではないでしょうか。
 
女は仕事だけでも、家庭だけでも足りない。きれいで、男にも求められて・・・
 
こーゆーとこってありません?
ワイドショーの事件じゃなくても?
 
程度の差こそあれ、誰でも思ってるし、誰でも苦しんでるところです。
 
男は金をつかめばぶさいくでもOKってところがありますが(これも最近だんだん苦しくなってきた。男もすべてにおいて及第点を求められる世になってきましたよね。じゃなけりゃ、男性用の脱毛器具がヒットするとかありえない)、女性はそれだけではいけません。
 
世間も認めないし、本人も納得しない。
 
その葛藤を超極端な形で描いたのが本作です。
 
主人公が体をうる相手(外国人)に優しくしてと言います。
 
相手は、いいですよ、だったらあなたも優しくしてと返します。
 
たしか、こんなシーンがありました。
だいぶ前に読んだ作品だから間違えてたらすみません。
 
でも、あったはず。
ここのシーンの印象が大きいです。
 
ああ、なにを揃える、何が欲しいっていったって、人間の根本的な欲求ってここなんだなと思って、哀しくなりました。
 
泣けた。
 
ぜんぜん山場ではないんですが。
 
結構山場ではないところでひっかるんですよね。
ひねくれてるからかな。
 
本作は、有名名門私立学校の中のカースト(金持ちと貧乏)も描いていて、そこが結構話題になっていましたが、あのあたりはあまり興味をもてませんでした。
 
幼い女の意地悪なんて、文章にしてもエグイだけです。
 
でも、読み応えはありましたけどね。
 
山場といえば、こっちかもしれません。
 
子供時代のことって、どうしたって大人時代のことに比べると、リアルさや切実さに欠けると思いません?
 
でも、これも人それぞれのようで、子供時代を彷彿とさせるような作品に刺さるって人、ほんとに多いですよね。
 
それはそれでもちろんいいんですが。
 
人のこころの渇望や孤独を嫌というほど強調した本作。
 
突き抜けた暗さや哀しみがあります。
 
ジャンルとしてくくれないような作品なのですが、人間の闇を描いたものとしては間違いなくトップクラス(私の中ではトップ)です。
 
読んで絶対に損はしません。
 
世代も問いません。
 
おすすめです。
 
 
 
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